「Salesforceはリフォーム・建設業には向かないのでは?」——そう思っている方は少なくありません。Salesforceは大企業の営業管理ツールというイメージが強く、現場作業・工事管理・在庫など特有の業務が多いリフォーム・建設業では使いにくいと感じられがちです。

しかし実際には、住宅リフォーム会社でSalesforceを活用した結果、業務の効率が大きく改善した事例があります。この記事では、実際に構築した3つの事例を具体的にまとめて紹介します。

この記事で紹介する事例
  • 事例① 在庫管理の一元化——転記ミスをなくし、月末締め処理の精度が向上
  • 事例② 売上予実ダッシュボード——月末まで見えなかった売上がリアルタイムで把握できるように
  • 事例③ 発注メールの自動化——受注後の手動メール作成・転記作業をゼロに

リフォーム・建設業に共通する業務課題

まず前提として、リフォーム・建設業の中小企業でよく見られる業務課題を整理します。

  • 現場担当者・営業・経理がそれぞれ別のExcelや紙で管理しており、情報が一元化されていない
  • 受注から工事完了まで複数の部門をまたぐため、進捗の全体像を把握しにくい
  • 仕入先への発注・在庫管理が手作業で、転記ミスや在庫の把握漏れが発生する
  • 月末にならないと売上が確定せず、経営判断が後手に回る
  • 担当者が異なると案件の引き継ぎに手間がかかる

これらの課題は互いに関連しており、「情報が一か所に集まっていない」ことが根本にあります。以下の3事例は、それぞれ異なる切り口からこの課題に対処したものです。

事例① 在庫管理の一元化

01
在庫管理
Excelと紙台帳で管理していた在庫を、Salesforceで一元化した話
業種:住宅リフォーム会社 課題:入出庫のたびに手作業で数量・引当・金額を記録

この会社では、材料・部材の在庫管理を紙台帳とExcelで行っていました。入出庫のたびに数量・引当・金額を手動で記録する運用だったため、作業負荷が高く、転記ミスも発生していました。

✗ 導入前
  • 紙台帳とExcelで二重管理
  • 入出庫のたびに手動で転記
  • 転記ミスによる在庫誤差
  • 月末締め処理に時間と手間
✓ 導入後
  • Salesforceで在庫情報を一元管理
  • 入出庫はSalesforceに1回入力するだけ
  • 転記ミスがなくなった
  • 月末締め処理の精度が向上

在庫管理に使ったのはカスタムオブジェクトです。「在庫品目」「入出庫履歴」「残量の自動計算」をSalesforce上で構築し、紙台帳を廃止しました。

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事例② 売上予実ダッシュボードの構築

02
売上管理・経営可視化
「月末にならないと売上がわからない」を解消した売上予実ダッシュボード
業種:住宅リフォーム会社 課題:月末の集計まで全社の売上が把握できない状態

この会社では月次の売上が月末を過ぎないと確定せず、経営者が早い段階で意思決定することが難しい状態でした。営業担当者ごとの進捗も個別に確認する必要があり、全体像の把握に時間がかかっていました。

✗ 導入前
  • 月末になるまで売上の全体が不明
  • 担当者ごとの進捗を個別確認
  • 月次会議の資料作成に時間がかかる
  • 売上見込みが感覚的で精度が低い
✓ 導入後
  • 売上見込みを毎日リアルタイムで確認
  • 受注率を加味した精度の高い予測が可能に
  • 部門責任者・担当者も自分の数字を即確認
  • 月次会議の資料がダッシュボードで代替

このダッシュボードの特徴は、商談フェーズごとに受注確率を設定し、「見込み金額 × 受注率」で自動算出した売上予測を表示している点です。感覚ではなく根拠のある数字で判断できるようになりました。

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事例③ 発注メールの自動化

03
属人化の解消
発注業務の属人化をなくした話——Salesforceで仕入先・単価マスタを整備
業種:住宅リフォーム会社 課題:どこにいくらで発注するかが特定担当者の記憶に依存していた

この会社では、部材・資材の発注先や単価が長年担当してきた特定のスタッフの経験・記憶に依存していました。その担当者が不在のとき発注が止まり、別の人が対応すると仕入先や単価がバラバラになる問題が続いていました。

✗ 導入前
  • 発注先・単価が担当者の頭の中にしかない
  • 担当者不在で発注業務が止まることがある
  • 別の人が発注すると単価・仕入先がバラバラ
  • 発注履歴がGmailの送信箱に分散
✓ 導入後
  • 手配品マスタに仕入先・単価・発注条件を登録
  • 誰でもマスタを参照して正しく発注できる
  • 発注単価・仕入先の選択が標準化
  • 発注履歴がSalesforceに蓄積される

Salesforceにカスタムオブジェクトで「手配品マスタ」を構築。品目ごとに推奨仕入先・標準単価・発注条件を登録し、誰でも迷わず発注できる体制を整えました。約2ヶ月で運用開始しています。

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3事例に共通する成功のポイント

3つの事例を振り返ると、いくつかの共通点があります。

① 「今、最も困っている1つ」から始めた

3事例はそれぞれ別々のタイミングで、最も課題感が強いテーマから着手しています。すべてを一度に解決しようとせず、1つずつ確実に成果を出すことで、現場の信頼と使用習慣を積み上げました。

② 現場の入力負荷を極力下げた

リフォーム・建設業は現場作業が多く、ITリテラシーにばらつきがあります。どの事例でも、入力項目を絞り・操作を単純化し・入力しなくていい自動化を先に入れることで、現場定着を優先しました。

③ 使う人ごとに「見える化」の目的を定めた

在庫管理は倉庫担当者・発注担当者向け、売上ダッシュボードは経営者・マネージャー向け、自動化は営業担当者の作業削減のため——それぞれ使う人の業務目的と直結させた設計が、定着につながりました。

POINT

リフォーム・建設業でSalesforceを使う場合、工事の工程管理そのものより、「営業・受注・仕入の情報管理」に絞って使うのが定着のコツです。全業務をSalesforceに集約しようとすると複雑になりすぎます。

業務領域別の活用効果まとめ

業務領域 Salesforceで解決できること 効果の目安
在庫管理 入出庫の一元管理・自動集計・残量把握
売上・案件管理 フェーズ別進捗・受注見込みの可視化
仕入・発注業務 発注メール自動化・納期フォロー自動化
顧客管理 過去の案件履歴・担当者・連絡先の一元管理
工事工程管理 シンプルな進捗管理(詳細な工程はSalesforce外で補完)
原価管理・原価計算 概算での収益管理は可能。精緻な原価計算は専用システムが適切 中〜低

まとめ

この記事のまとめ
  • リフォーム・建設業でもSalesforceは有効——在庫・売上・自動化の3領域で実績あり
  • 「最も困っている1つ」から着手し、段階的に広げるアプローチが成功の鍵
  • 現場の入力負荷を下げる設計が、定着率を左右する
  • 工事工程の詳細管理より、営業・受注・仕入の管理に絞ると効果が出やすい

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