「在庫の数字が合わない」「月末の経理報告に時間がかかる」——在庫を持つ中小企業では、こうした問題が長年放置されていることがあります。

この記事では、住宅リフォーム会社の在庫管理業務をSalesforceで一元化した事例を紹介します。ExcelとSalesforceの二重管理、手作業による転記ミス、月末締め処理の不正確さ——これらの課題がどう解消されたかを、具体的にお伝えします。

支援の概要

業種
住宅リフォーム会社
規模
従業員数十名規模
課題
在庫の数量・引当・金額管理をExcelと紙台帳で運用、手作業の転記負荷が高い
支援内容
Salesforceによる在庫業務の一元管理システム構築
主な成果
転記ミスの解消、月末締め処理の精度向上

導入前の状況:在庫管理に3種類の手作業が発生していた

この会社では、在庫に関する3つの管理をそれぞれ手作業で行っていました。

これらはExcelと紙の台帳を組み合わせて管理されており、入出庫が発生するたびに複数の帳票に同じ情報を転記する運用でした。

💡 入出庫が発生するたびに3種類の記録を手作業で更新する——この運用が日常的な作業負荷になっていました。

何が問題だったのか

手作業による転記が積み重なると、必ずズレが生まれます。この会社でも、いくつかの構造的な問題が起きていました。

▼ BEFORE(導入前)
  • 入出庫のたびに複数の帳票へ手動転記
  • 転記漏れ・入力ミスが発生する
  • リアルタイムの在庫数量が把握できない
  • 月末に在庫金額を集計するのに時間がかかる
  • 経理への報告数値に誤差が生じることがあった
▼ AFTER(導入後)
  • 入出庫をSalesforceに1回入力するだけ
  • 数量・引当・金額が自動で連動して更新
  • 在庫状況をリアルタイムで確認できる
  • 月末の在庫金額が自動集計される
  • 経理への報告が正確な数値で行える

特に影響が大きかったのが、月末の経理報告です。在庫の実数と帳簿上の数字が一致しないと、仕掛金額の報告に誤差が生じます。月末になるたびに数字を突き合わせる作業が発生しており、担当者の負荷になっていました。

Salesforce導入後:すべての在庫業務を一元管理

支援では、在庫に関わるすべての業務をSalesforce上で完結できる仕組みを構築しました。

▼ 構築した仕組みの概要
  • 入庫・出庫・引当をSalesforceのカスタムオブジェクトで管理
  • 入出庫の登録と同時に在庫数量・引当数量・在庫金額が自動更新
  • 月末時点の在庫数量・仕掛金額をレポートで自動集計
  • 担当者がExcelや紙台帳に転記する作業をゼロに

設計のポイントは、現場の入力フローを最小化することでした。担当者がSalesforceに入力する項目を必要最小限に絞り、残りの計算・集計はSalesforceが自動で行う構造にしています。

「入力する手間が増えるのでは」という現場の懸念がありましたが、実際には従来の転記作業がなくなった分、トータルの作業量は減っています。

変わったこと

導入後に確認できた変化は、大きく2つです。

① 転記ミスがなくなった

複数の帳票に手動で転記する作業がなくなったことで、数値の不一致が解消されました。Salesforceへの1回の入力で在庫情報が一元管理されるため、「どこが正しい数字か」という確認作業も不要になっています。

② 月末締め処理の精度が向上した

月末に在庫数量・仕掛金額をレポートで即時確認できるようになりました。従来は集計に時間がかかり、誤差が生じることもあった経理への報告が、正確な数値で行えるようになっています。

💡 「数字を合わせる作業」から「数字を使う仕事」へ。担当者が本来やるべき業務に集中できる環境になりました。

この事例から学べること

在庫管理のSalesforce化で重要だったのは、「ツールを入れる」ことではなく、現場の業務フローを先に整理することでした。

数量・引当・金額の3つが別々に管理されていた背景には、それぞれの業務を担う担当者が異なり、情報の流れが分断されていたという構造的な問題がありました。この流れを整理した上でSalesforceの設計に落とし込んだからこそ、現場に受け入れられる仕組みになっています。

在庫管理に限らず、複数の帳票やExcelファイルをまたいで同じ情報を転記している業務は、Salesforceによる一元管理が有効な候補です。まず「どこで何を記録しているか」を可視化することが、改善の第一歩になります。

▼ Salesforce一元管理が向いている業務の特徴
  • 同じ情報を複数の場所(Excel・紙・メール)に転記している
  • 月末・月初に集計作業が発生し、担当者の負荷が高い
  • リアルタイムで状況を把握できず、確認に都度手間がかかる
  • 担当者によって記録の粒度や方法がばらついている

こうした業務を抱えている場合、一度現状の業務フローを整理してみることをおすすめします。どこに転記が発生しているかを可視化するだけで、改善の優先順位が見えてきます。