「A社の本社と支店をバラバラに登録してしまい、どちらが親かわからなくなった」「グループ企業の子会社をまとめて把握したい」——取引先が増えてくると、こうした階層管理の必要性が出てきます。
結論からいうと、Salesforceの「取引先階層」機能を使えば、親会社と子会社・本社と支店を階層構造で紐づけて管理できます。設定はシンプルで、取引先レコードの「親取引先」項目に親会社を指定するだけです。
この記事では、取引先階層の仕組み・設定手順・活用シーン・よくある間違いまでまとめて解説します。
取引先階層とは——Salesforceでの親子関係の仕組み
Salesforceの「取引先」オブジェクトには標準で「親取引先」という項目があります。子会社・支店・部門などの取引先レコードに親取引先を指定することで、ツリー構造(階層)が自動的に作られます。
取引先階層のイメージ
階層を設定すると、親取引先のレコードに「取引先階層」ビューが表示され、傘下の子取引先・孫取引先をツリー形式で一覧確認できます。最大で5階層まで表示に対応しています。
取引先階層の設定手順
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1子会社・支店の取引先レコードを開く 階層の下位にあたる取引先(子会社・支店など)のレコードを開きます。
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2「編集」ボタンをクリックして編集モードへ レコード右上の「編集」またはインライン編集で項目を更新できます。
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3「親取引先」項目に親会社・本社を検索して選択 「親取引先」欄に親会社名を入力して検索し、該当の取引先レコードを選択します。事前に親会社の取引先レコードが登録されていることを確認しましょう。
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4「保存」して階層を確定する 保存後、親取引先のレコードに「階層を表示」ボタンが現れ、ツリー構造で確認できます。
- 「親取引先」はSalesforceの標準項目ですが、ページレイアウトに配置されていない場合があります
- 管理者が「設定 → オブジェクトマネージャー → 取引先 → ページレイアウト」から「親取引先」項目をレイアウトに追加してください
取引先階層が役立つ活用シーン
グループ企業の一元管理
持株会社を親取引先に設定し、傘下の子会社・関連会社を紐づけます。グループ全体の商談・売上を親取引先から俯瞰できます。
本社と支店・営業所の管理
本社を親取引先に、各支店を子取引先として紐づけます。「本社への営業」と「支店ごとの担当者管理」を同時に実現できます。
グループ全体の売上集計
レポートに「親取引先」項目を追加してグループ化すると、グループ企業単位での売上・商談数を集計できます。
担当者の所属把握
取引先責任者(担当者)が本社と子会社どちらに所属しているかを明確にし、アプローチすべき窓口を整理できます。
取引先階層を使うべきケース・使わないケース
| 状況 | 階層設定 | 理由 |
|---|---|---|
| グループ企業(親会社・子会社)がある | ◎ 使う | グループ全体の把握に必須。レポートでも活用しやすい |
| 本社と複数の支店・営業所がある | ◎ 使う | 組織構造を忠実にSalesforceに反映できる |
| 1社1拠点の取引先ばかり | △ 不要 | 階層設定のメリットが生まれない。シンプルに1レコードで管理する |
| 部署ごとに取引先を分けたい | △ 慎重に | 部署はカスタム項目か取引先責任者で管理するほうが適切な場合が多い |
| 提携先・パートナー企業を関連づけたい | △ 不向き | 階層は上下関係を表すため、横並びの関係には別のカスタム機能が適している |
よくある間違いと対策
- 親子を逆に設定してしまう:「親取引先」は必ず上位の組織(本社・グループ本部)を選びましょう。子会社に親取引先を設定するのが正しい操作です
- 同一企業を複数レコードで重複登録する:重複レコードがあると階層が正しく構成されません。まず重複を解消してから階層を設定しましょう
- 階層が深くなりすぎる:5階層を超えると管理が複雑になります。「本社→子会社→支店」の3階層程度に抑えると運用しやすくなります
- 親取引先が存在しない(未登録)まま設定しようとする:親取引先に指定する会社のレコードが先に登録されていないと選択できません
取引先階層とロール階層の違い
Salesforceには「ロール階層」という別の機能もあります。混同しやすいので整理しておきましょう。
- 取引先階層:「顧客企業の組織構造」を表す。グループ企業・本支社の関係を整理するもの
- ロール階層:「自社の営業組織の権限構造」を表す。上位ロールが下位ロールのデータを閲覧できるようにするもの
- 両者は目的がまったく異なります。取引先の組織を管理したい場合は「取引先階層」、自社の権限設計には「ロール階層」を使います
まとめ
- 設定は「子会社・支店の取引先レコードに親取引先を指定する」だけ——操作はシンプル
- グループ企業・本支社の管理に特に効果的。1社1拠点の取引先には不要
- 階層を設定すると親取引先から傘下のツリーを一覧確認できる(最大5階層)
- レポートの「親取引先」でグループ化するとグループ単位の売上集計が可能
- ロール階層(自社の権限設計)とは目的が異なるため混同しない
取引先階層は一度設定してしまえば、Salesforce上で顧客の組織構造を直感的に把握できる強力な機能です。グループ企業や多拠点の顧客を持つ中小企業にとって、設定する価値は十分にあります。