「Salesforceを使ってみたいが、いきなり高いプランは怖い。最安プランで何ができるのか」——これは中小企業のSalesforce検討で最初に出る疑問のひとつです。
結論からいうと、Salesforce Starter Suite(旧:Essentials)は、顧客管理・商談管理・メール連携・基本レポートまで対応しており、小規模チームのCRMとして十分に機能します。ただし、上位プランと比べると自動化・カスタマイズ・レポートの自由度に制限があります。この記事では「Starter Suiteで本当にやりたいことができるのか」を判断できる情報をまとめます。
- Starter Suiteの費用と対象ユーザー数の上限
- Starter Suiteでできること・できないことの具体的な一覧
- 上位プラン(Pro Suite・Enterprise)との主な違い
- 「Starter Suiteで十分な企業」と「最初から上位プランが必要な企業」の見分け方
Starter Suite の基本スペック
まず、Starter Suite の基本的な仕様を確認します。
- 価格:約3,000円〜/ユーザー/月(税別・年間契約)
- ユーザー上限:最大10ユーザーまで
- 含まれる製品:Sales Cloud・Service Cloud・Marketing Cloud Account Engagement(�pardot)の基本機能をパッケージ化
- 契約形態:年間契約のみ(月額換算)
⚠️ Starter Suiteは「10ユーザーまで」という上限があります。11名以上の組織ではPro Suite以上が必要です。また、価格は為替・プロモーションにより変動するため、最新の公式サイトで確認してください。
Starter Suite でできること・できないこと
- 顧客(取引先・取引先責任者)の管理
- 商談の登録・フェーズ管理・パイプライン把握
- ToDo・行動(活動)の記録と管理
- メール連携(GmailまたはOutlookとの同期)
- 標準レポート・ダッシュボードの閲覧
- モバイルアプリ(Salesforce Mobile)での利用
- 簡単なFlowによる自動化(基本的なもの)
- カスタム項目の追加(制限あり)
- ケース管理(顧客からの問い合わせ対応)
- Einstein Activity Capture(メール・予定の自動記録)
- カスタムオブジェクトの作成(上位プランが必要)
- 高度なFlowの作成(複雑な条件分岐・サブフロー)
- 承認プロセスの設定
- カスタムレポートタイプの作成
- プロファイル・権限セットの詳細なカスタマイズ
- APIアクセス(外部システムとの連携)
- Salesforce Flowの一部高度な機能
- Territory Management(テリトリー管理)
- 高度な予測管理(Revenue Intelligence等)
上位プランとの主な違い
| 機能 | Starter Suite 〜約3,000円/user/月 |
Pro Suite 〜約10,000円/user/月 |
Enterprise 〜約19,000円/user/月 |
|---|---|---|---|
| ユーザー上限 | 最大10名 | 制限なし | 制限なし |
| 顧客・商談管理 | ◎ | ◎ | ◎ |
| カスタム項目の追加 | △ 制限あり | ◎ | ◎ |
| カスタムオブジェクト | ✕ | ○ | ◎ |
| Flow(自動化) | △ 基本のみ | ○ | ◎ |
| 承認プロセス | ✕ | ○ | ◎ |
| カスタムレポートタイプ | ✕ | ○ | ◎ |
| APIアクセス | ✕ | ○ | ◎ |
| 権限・プロファイル設定 | △ 簡易のみ | ○ | ◎ |
最も大きな制限は「カスタムオブジェクトが使えない」点です。在庫管理・発注マスタ・案件固有の独自データなど、標準オブジェクト(取引先・商談・活動)以外の業務をSalesforceで管理したい場合はPro Suite以上が必要です。
Starter Suite で十分な企業・上位プランが必要な企業
「Starter Suiteから始めてあとで上位プランへ」という移行は可能ですが、プランアップグレード時に追加の設定作業が発生します。最初から3年後の業務規模を想定してプランを選ぶほうが、長期的には安く済むケースが多いです。迷ったときは、現在の業務範囲だけでなく「1〜2年後に何を管理したいか」を基準に判断してください。
Starter Suite の現実的な活用シナリオ
シナリオ①:営業5名のサービス業——顧客台帳と商談管理をExcelから移行
Excelで管理していた顧客リスト・商談進捗・対応メモをSalesforceに移行するケースです。Starter Suiteの標準機能だけで実現でき、月次の受注見込みをダッシュボードでリアルタイムに把握できるようになります。
この規模・目的であればStarter Suiteは十分な選択肢です。カスタムオブジェクトが不要で、標準の取引先・商談・活動で業務が回るなら、コストを抑えてスタートできます。
シナリオ②:製造業8名——受注後の発注・納期管理もSalesforceで行いたい
引合〜受注管理はStarter Suiteで対応できますが、受注後の発注管理・納期追跡にカスタムオブジェクト(「発注レコード」など)が必要になります。この場合はStarter Suiteでは不足し、Pro Suite以上が必要です。
「最初は営業管理だけでいい」ならStarter Suiteから始め、受注後管理を追加するタイミングでプランアップグレードという進め方もあります。
シナリオ③:士業事務所10名——顧問先管理・期限管理・スタッフ間の情報共有
顧問先情報・対応履歴・期限管理という用途であれば、Starter Suiteの範囲内で対応できます。ただし独自の業務項目(例:顧問契約種別・作業種別)を細かく管理したい場合はカスタム項目の制限に引っかかる可能性があります。事前に必要な項目数を確認しておくことをおすすめします。
まとめ:Starter Suite は「試す場所」ではなく「目的に合えば正式な選択肢」
Starter Suite は「お試しプラン」ではありません。顧客管理・商談管理・活動記録というCRMの基本用途を10名以下で使う場合は、正式な選択肢として十分に機能します。
一方、次のいずれかに当てはまる場合は最初からPro Suite以上を選ぶべきです。
- 11名以上の組織
- 在庫・発注・受注後管理など、標準オブジェクト以外の業務も管理したい
- 他システムとAPI連携したい
- 複雑な自動化・承認フローが必要
プラン選択で迷ったときは、「今の業務」だけで判断せず「1〜2年後に管理したい業務」を基準にすることをおすすめします。